Magic Snowdome

大阪梅田にあるグランフロント大阪で、面白いショーウインドウを見てきました。「魔法のスノードーム」という名付けられたショーウィンドウで、[STARRYWORKS](http://www.starryworks.co.jp/)という会社が作ったそうです。 場所は、グランフロント大阪南館1Fの北側。カフェの隣にありますので、大阪近辺にお住まいの方は是非一度体験してみてください。大阪近辺以外の方は、こちらの動画をどうぞ。 [魔法のスノードーム](http://vimeo.com/113513624)

このショーウィンドウ、前を歩いたり動いたりすると、その動きに応じて雪が舞い上がります。たくさん動くほど高く上がります。 私もやってみましたが、これはなかなか面白い。私の他にも大人、子どもたくさんの方々が試していました。特に小さなお子さんは、本当に魔法使いになった気分だったのでしょう、大はしゃぎで体を動かしていました。 人を楽しい気持ちにさせる仕組みというのは本当にいいものですね。こういうモノを作る仕事に関わりたいと、心から感じさせてくれるショーウインドウでした。 ## 作り手視点から

さて、こういうものを見ると、どのように実現しているのか、どんな課題があって、どんな工夫をしているのかを考えてしまうのが、作り手の性というもの。この魔法のようなショーウインドウを作り手視点で分解するというのは無粋と思いつつ、ちょっと考えてみました。 このショーウインドウには前面にモーションセンサーが埋め込まれていて、動いている物体を感知し、その動きからファンなりブローなりを動かして雪を舞い上げているものと考えられます。このように書くと簡単に思えますが、課題はたくさんありそうです。

まず考えられるのが、モーションセンサーで読み取った人の動きを、雪の舞い上がる量にどう反映するか? という点。この調整がきちんとできていないと、少し動いただけでもたくさん舞い上がってしまったり、いっぱい動いているのになかなか舞い上がらないという状況になり、「動きに合わせた」感じがでません。ファンの回転数制御も、雪の感じを出すために微妙な制御をしている可能性が考えられますが、これも制御パターンは試行錯誤が必要でしょう。

次に、どうやって雪を舞い上げるか? 雪といっても発泡スチロールの小さな玉。これを舞い上げるためには、床面に空気を吹き出す仕組みを作りこむことになりますが、そこは雪の玉が落ちてくる場所でもあるので、雪の玉を吸い込むことなく、空気を送り出すようにしなければなりません。 例えば、目の細かい布の下にファンを置くということが考えられますが、そうすると勢い良く風を吹き出すことができなくなる。これをどう解決しているのかは思いつかなかったのですが、大変興味深いものです。

そして、落ちてきた雪を真ん中に集めなければなりません。舞い上がった雪がショーウインドウの端に落ちてしまうと、吹き上げられる雪の量が減ってしまいます。したがって、落ちてきた雪はまた真ん中に戻ってきて欲しいので、床面に斜面を作って雪が集まるようにしていると考えられます。

さらに湿気対策も必要。夏場に比べて湿度は低いのですが、それでも雨が降ったりして湿度が上がり、雪玉が重くなると吹き上がりが悪くなるでしょうから、なんらかの湿気対策は行われていると思います。もしかすると、そもそもショーウインドウというのは、湿気対策が行われているものなのかもしれません。

などなど、素人の私が考えてもこれだけの課題があるわけですから、実際にはもっとたくさんの課題があったことだと思います。「魔法のような体験」を作り出すのは並大抵のことではないのですね。

## 魔法を産み出すアイデアと努力

みんなが「あっ」と驚くような仕組みや体験は、必ずしも誰も見たことがない技術や、誰も使ったことがないデバイスで実現されているわけではありません。 あのiPhoneでさえも、発表の時には会場にいた多くの人々が歓声をあげるほどの驚きを与えましたが、そこで使われている技術のひとつひとつは必ずしも新しいものではありませんでした。既存の技術やデバイスをうまく使うアイデアを創出し、それを丁寧につくりあげていった結果なのです。

電話やメールも、遠く離れた人とリアルタイムに連絡が取れる「魔法の機械」なのですが、当たり前になった今では忘れられているのかもしれませんね。現代では、「魔法のようなこと」はあちらこちらで実現されているのです。そして、そこには必ずそれを産み出すアイデアと努力があるのです。 アドレス帳から名前を選ぶだけで電話がつながる、メールやLINEでメッセージを送ると相手がすぐに読める。このような体験は、それらの機械やアプリを作った方はもちろん、日々ネットワークインフラを維持してくださっている方々の努力の上に成り立っていることを忘れてはいけません。

こういった努力が払われているのは、何もITの世界だけではありません。時間通りに到着することで世界的に有名な鉄道もそのひとつ。時間通りに列車が来ないことの多い国の方々にとっては、時刻表通りに列車がやってくる日本は魔法の国なのかもしれません。 また、列車が時間通りにやってくるからこそ「乗換案内」のようなサービスも成立するのです。自分がどの列車に乗れば、目的地にいつ到着できるのか?を一瞬で知ることができる。これもまた「魔法のような体験」と言えます。 アイデアと実現する技術と工夫、それを動かし続ける人の努力によって「魔法のような体験」は実現されているのですね。ひとりのスーパーマンが実現しているのではないのです。

## 次の魔法を産み出す力を育てる

とはいえ、電話やメールを「魔法のような体験」だと感じろというのは無理があるかもしれません。ましてや物心がついたころには、それが使える状態であった子どもたちにはなおさらです。

そういう意味では、やはり「魔法のスノードーム」は子ども達にもわかりやすい「魔法のような体験」であると言えます。「魔法のスノードーム」も最初にアイデアがあり、それを実現するための技術を結集し、課題を解決するための努力の結晶だったのでしょう。

「魔法のスノードーム」を体験した子ども達が大きくなり、その仕組みや実現した方々の技術や努力を理解し、また新しい魔法をその次の世代に見せていくための努力をする。 そんなサイクルを作り出せれば、世の中は必ず良くなっていくんじゃないかな。そのサイクルの実現に自分も関われれば幸せだなと、作り手のひとりとして感じるのでした。